真夜中!
【パンっパンッ】と何か音が聞こえる
ネバネバと棒に絡みつき!時に激しく・・・
その5分後・・・
「オギャー!!」と産声を上げているかのような
【菓子パン生地】が出来上がった。
菓子パン(パン子)の誕生だ!
このお話は、
パン子が人間のように育っていく物語。。。
ミキサーと材料の真夜中の仕込みによって
誕生したパン子。なんとも滑らかな肌、ツヤツヤだ!
パンのゆりかごでスヤスヤ・スクスクと育っている
人間でいえば3歳ころになるだろうか、パン子はパンなので
自我は目覚めてはいないが、ふっくらと膨らみ反抗してくる。
※フィンガーテスト
パンの膨らみ状態を確認するために、指でパン生地を挿し
その挿した穴の戻り具合で生地の状態を確認する作業。
このまま調子に乗らせると膨らみ過ぎるので
僕は親代わりとして良いパンになってもらうために
【 パ~ンチ!!】をする。
※パンチ(ガス抜き)
パン生地に新しい空気を送り込んで、イースト菌を活性化させる。
その洗礼を受けたパン子は、ほどなくして落ち着き
ひと皮むけたパン子になっていた。
そんな反抗もあったパン子だが
人間でいえば、もう小学生1年生になる。
※幼稚園は飛び級
そして
パン子のパン生(人生)で初めてのクラスに分けられることに
スケッパーという道具でパン子を切り分けていく。(分割)
職人の先生によってパン子の
パン生は大きく変わる、人間も同じだろう。
職人の先生たちは、今までの技術を生かし
なんとか、パン子の形(人格)を作りあげた。
「先生!今までありがとう。私はもっと大きくなります。」
※高校卒業
そして、
パン子は鉄板に乗って引っ越していった。
その引っ越し先は、湿度が高く、温度も38℃ある部屋だ
パン子はその中でスヤスヤと眠りにつく・・・
ハッと目が覚めた時には・・・
「あれ?1時間前まであの部屋にいたのに!」
驚きアタフタしているパン子に近寄る白衣の職人!
その職人により
外に出され体中に何かを塗られている!
「嫌!やめて!私はこの肌の色が良いの!」
そんな抵抗もむなしく、10分後・・・
パン子はこんがり小麦色のパンギャルになっていた。
「オヤジ!早く店に出せよ~」と気だるい感じだ・・・
そんなパン子だが、もう販売できる成パンだ。
パン子に
最後の仕上げを着飾して店にならべたとき・・・
パン子からあるメッセージが・・・
「今まで、育ててくれてありがとう。店長のパン屋さんに
生まれて良かったよ(グスン) これからは私を買ってくれた
この人と一緒に生きていきます。さようなら。。。」
パン子がお客様に買われ(お嫁に行ってしまい)、僕は複雑な気持ちだ・・・
パクっ!
「店長、このクリームパンめっちゃ美味しいね!」
こうしてパン子は、パン子を買ってくれた人の
一部となって生きていくことになったとさ・・・